F4043【短刀】兼友
本短刀は、南北朝時代に活躍した美濃国関鍛冶の刀匠「濃州住兼友」の作と伝わる一振りです。南北朝時代(14世紀中頃)は、後醍醐天皇の建武の新政崩壊に伴い、朝廷が南北に分かれて争った動乱の時代であり、全国で激しい合戦が繰り広げられました。このような時代背景の中で、短刀は護身用として重宝され、また戦陣において主従の絆や武士の覚悟を象徴する重要な刀種でした。
本刀は平造で、板目肌がよく現れ、深くうねる湾れ刃文が華やかさと緊張感を併せ持ちます。茎(なかご)は生ぶで栗尻、研ぎ立ての刀身は非常に美しいです。表には1/3長さの棒樋(丸留め)、裏には護摩箸が彫られており、機能美と信仰的意味合いの両面を感じさせる造りとなっています。
金色のハバキと赤塗ツヤ仕上げの合口拵が高貴な印象を与え、格式ある御守刀としても最適な仕様です。兼友の名は室町期にも続く系譜が見られ、美濃鍛冶の堅牢かつ華麗な作風を体現しています。
歴史の重みと美術性を兼ね備えた本短刀は、実用・鑑賞いずれにもふさわしい逸品です。
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- 銘
- 兼友
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- 時代
- 南北朝時代
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 219g
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- 刀身
- 29.2cm
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- 反り
- 0.2
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 新潟県 第073634号
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- 登録年
- 令和6年