F4053【短刀】無銘
室町時代末期に鍛えられたと推定される無銘の一振で、実戦の名残を感じさせる堅牢な造りと、目を引く個性的な拵が魅力の作品です。室町末期は戦国時代の混乱が頂点に達し、短刀もまた護身や懐剣として武士たちの重要な装備とされました。そのため、堅実な造りと持ち運びやすさを兼ね備えた実用性の高い短刀が多く見られます。
本作は平造のすっきりとした姿に、詰んだ板目肌が美しく現れ、浅い互の目乱れが品のある表情を刃に与えています。大切先が備わり、短刀でありながら迫力あるシルエットを持ち、生茎に栗尻という構造が時代の古さを物語ります。銀着せの祐乗ハバキも上品で、時代と格調を感じさせる意匠です。
特筆すべきは、拵の独自性です。1/3朱刻み・2/3黒刻みの変り合口拵は、視覚的にも非常に珍しく、縁金と鯉口が合わさることでまるで鍔のような見た目となる意匠は、実用と遊び心を併せ持つ工夫といえるでしょう。現代ではまず見かけることのないユニークなデザインが、刀身と調和し、芸術品としての魅力も高めています。
歴史と個性が融合した、まさに一点ものの短刀。古刀を愛する方や、変わり拵を求める方にぜひ手に取っていただきたい逸品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 246g
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- 刀長
- 30.2cm
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- 反り
- 0.3
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 新潟県 第9654号
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- 登録年
- 令和6年