F4234【短刀】無銘
室町時代末期に制作されたと見られる無銘の短刀です。戦国の動乱が最高潮に達したこの時代、短刀は武士の護身具としてのみならず、日常携行の実用品としても重視され、実戦性と簡潔な美を併せ持つ作が多く生まれました。本作もその系譜を色濃く伝える一振です。
造りは平造で、肌は板目がよく現れ、刃文は互の目乱れに湾れが交じる躍動感ある景色を呈します。切先は大切先で、短刀ながら迫力があり、戦国期特有の実用本位の姿が感じられます。生茎・栗尻を保ち、時代下りの手入れを受けながらも、さびや刃こぼれのない健全な保存状態は評価点と言えるでしょう。
拵えは黒塗りツヤ鞘に丸形鉄鍔を備え、簡素ながら引き締まった武家好みの意匠です。特筆すべきは付属する菊紋入り小柄で、「和泉守千手院盛國作」の銘が入ります。これは刀身の作者を示すものではありませんが、和泉守千手院盛國と伝わる名工の名を刻む小柄が添えられている点は、当時の武家文化や装身具の価値観を知る上で興味深い要素です。菊紋の意匠も、格式や献上文化との関わりを想起させ、鑑賞性を高めています。
全体として、戦国末期の短刀らしい力強さと、拵え・付属金具による時代性を併せ持つ一振。日本刀コレクションの一角としてはもちろん、室町末期という激動の歴史を手元で感じられる実物資料としてもおすすめできる品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 193g
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- 刀長
- 26.7cm
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- 反り
- 0.2
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- 元幅
- 2.7
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 長野県 第49031号
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- 登録年
- 昭和44年