D4082【白鞘脇差】無銘
江戸時代初期、戦国の世の終わりとともに日本は平和の時代へと移り変わりました。しかし、武士たちにとって刀剣は単なる武器ではなく、己の身と名誉を象徴する重要な存在であり続けました。
この無銘の白鞘脇差は、そんな時代背景を色濃く映した一振です。鎬造、庵棟のしっかりとした造りに、小杢目肌の繊細な地肌が、鍛冶師の高度な技術と時代の美意識を感じさせます。刃文には小互の目が乱れ続き、流れるような動きと緊張感が同居しています。中切先の鋭さと磨上茎、切銘、平行なヤスリ目が、長年の実用と丁寧な手入れの跡を物語り、江戸初期の武士たちが実戦と格式を重んじた姿を想起させます。銅ハバキが刀身をしっかりと支え、全長57cmという長脇差の堂々たる姿は、実用性と威厳を兼ね備えています。さびや刃こぼれもなく、保存状態は良好です。
無銘ながらも、当時の職人の技と心意気が宿るこの脇差は、平和な世にあっても誇り高き武士たちの象徴であり続けました。時代を超えた日本刀の美と精神を、ぜひこの一振から感じ取ってください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 584g
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- 刀長
- 57cm
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- 反り
- 0.8
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 新潟県 第074014号
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- 登録年
- 令和7年