D4083【白鞘脇差】無銘
江戸時代初期、徳川家康による天下統一を経て、戦国の荒波が静まり、日本は安定した時代を迎えました。武士たちは戦乱の終息とともに、刀剣を単なる武器ではなく、格式と精神の象徴として身に着けるようになりました。
この無銘の白鞘脇差は、そんな時代背景を映し出す一振です。鎬造に庵棟という堅実な造りに、小杢目肌の美しい鍛えが施され、太直刃が力強くも清廉な印象を与えます。中切先の鋭さに加え、三ツ頭が鮮明に見え、鍛冶師の技の確かさを物語ります。生茎に栗尻、銀着せの牡丹祐乗ハバキが華やかさを添え、細部にまで気配りがなされた逸品です。鳩目付きの白鞘が付属し、保存状態は良好。さびや刃こぼれはなく、ほぼ欠点のない、非常に綺麗な白鞘脇差として、観賞用・実用の両面で楽しめます。
江戸初期、刀剣は平和を謳歌する中でも武士の誇りを体現し、格式を示す重要な道具でした。この脇差も、当時の武士たちの気概と日本刀文化の美意識を今に伝える貴重な存在です。ぜひその手で、歴史を超えた匠の技と武士の心を感じ取ってください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 522g
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- 刀長
- 54.6cm
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- 反り
- 0.9
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- 元幅
- 2.9
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 東京都 第136740号
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- 登録年
- 令和7年