E4090【拵付脇差】無銘
本脇差は銘こそありませんが、その姿形や金具の様式、刀身の特徴から、室町時代末期の作と見られる歴史的価値の高い一振です。応仁の乱以降、諸国で戦乱が続いたこの時代、刀剣は実戦を想定して大量に鍛造され、機能性と堅牢さが求められました。
本作もまさにその気配を伝える造りで、鎬造・庵棟の精悍な姿に、板目肌の地鉄が時代の荒々しさを映し出します。直刃を基調としながら乱れを交えた刃文は、静と動が交錯するような趣があり、武器としての実用性と美しさが見事に調和しています。中切先を備え、磨上茎に仕立てられている点も、時代の変遷をくぐり抜けた証しといえるでしょう。
拵もまた見どころが多く、貝散らしの意匠を施した鞘は華やかさを添え、丸形透かし鉄鍔や革巻の柄、真鍮と赤銅による二重のハバキは、丁寧な後世の手入れを感じさせるものです。
刃こぼれや大きな傷は見られず、保存状態も良好。歴史と実用が交差するこの脇差は、コレクションや鑑賞にふさわしい一振です。室町末期の武士たちの息吹を、ぜひお手元でお確かめください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 394g
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- 刀長
- 49.8cm
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- 反り
- 1.2
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- 元幅
- 2.7
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 岡山県 第130236号
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- 登録年
- 令和6年