D4096【白鞘脇差】無銘
本脇差は無銘刀ながら、姿や地鉄、茎の仕様から室町時代末期、すなわち戦国時代の終盤に製作されたと見られる一振です。多くの武士は、守護大名に仕えたり、地侍(じざむらい)・国人(こくじん)として半自立的に生活し、地方武士の多くは、農業と戦を兼業していました。
脇差は実戦だけでなく、護身用に多くの人々が所持しました。短刀より長く、刀よりも軽快な脇差には、実用性と共に美的な完成度も求められていたのです。
鎬造・庵棟の端正な造り。地鉄は小杢目肌がよく詰み、品格ある地景を見せています。刃文は直刃を基調に、乱れごころのある互の目が交じり、静かさの中に動きを感じさせる風趣に富んだ表情を持ちます。中切先の刃先は、重心のバランスもよく、反りが少ないのが特徴的です。扱いやすさと構えた時の美しさを兼ね備えています。
茎は磨上げられており、時代に応じて使いやすいように加工されたことがわかります。横のヤスリ目が残された丁寧な仕立て。銅製の祐乗ハバキが添えられ、反りは控えめながらも自然で美しい曲線を描き、白鞘に納められ、大切に保管されてきたことがわかります。
刃こぼれや錆もなく、保存状態も良好。無銘でありながら、室町末期という激動の時代の空気を静かに伝える、気品ある実戦刀です。歴史を愛する方、また刀身そのものの美しさに惹かれる方におすすめの逸品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 466g
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- 刀長
- 51cm
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- 反り
- 0.7
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 東京都 第147853号
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- 登録年
- 昭和44年