D4150【白鞘脇差】無銘
江戸時代初期に製作された無銘の白鞘脇差です。鎬造・庵棟を備え、板目肌が流れごころを見せつつ柾がかる地鉄を有し、湾れを帯びた直刃が穏やかな表情を与えています。切先は中切先で、茎は生ぶのまま栗尻を呈し、左上がりの鑢目が残るなど、時代的特徴をよく伝える姿を留めています。二重ハバキが添えられ、保存・鑑賞に適した白鞘仕立てとなっています。
研磨は専門の研ぎ師によるものではなく素人研ぎのため、地鉄や刃文の精緻な景色はやや不鮮明ではありますが、それゆえに江戸初期刀の雰囲気を素直に味わえる一振ともいえます。この時代は徳川幕府が開かれ、戦国期の実戦刀から武家の威厳や美意識を映す鑑賞性の高い刀剣へと移り変わる過渡期であり、本作もそうした歴史的背景を映す遺産です。
また、「刀剣乱舞」に登場する長曽祢虎徹や和泉守兼定なども江戸初期を代表する刀工であり、本脇差も同時代に鍛えられたことから、当時の刀剣文化を身近に感じていただけるでしょう。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 445g
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- 刀長
- 50.2cm
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- 反り
- 1.4
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- 元幅
- 2.9
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 2
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 愛媛県 第11936号
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- 登録年
- 昭和3?年