E4155【拵付脇差】無銘
室町時代末期(16世紀頃)に製作された無銘の拵付脇差です。刀身は鎬造・庵棟に仕立てられ、板目肌がよく詰み、直刃を基調としながら互の目が交じる刃文を備えています。小切先・大丸の姿を見せ、生茎に栗尻を残した健全な一振。刃こぼれや大きな錆もなく、時代を経た刀ながら良好な状態を保っています。
拵は、茶地に金色を散らした浅虫風の変わり鞘が目を引き、時代の趣を色濃く映し出しています。さらに、鍔には山水画を意匠とした象嵌が施された鉄製の一枚を合わせ、実用と美観を兼ね備えた逸品です。銅ハバキも残されており、全体として落ち着きある品格を漂わせています。
室町末期は戦乱が続いた時代で、武士にとって脇差は常に身辺を守る必携の武具でした。本作は無銘ながらも当時の刀工の確かな技術を伝えており、量産の中にも個性と美しさを感じさせます。
日本刀を美術品として鑑賞する方はもちろん、歴史的背景に関心を持つコレクターにもおすすめできる一振です。室町末期の武家文化と美意識を映した拵とともに、当時の空気を現代に伝える貴重な遺品といえるでしょう。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 363g
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- 刀長
- 47.8cm
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- 反り
- 1.1
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- 元幅
- 2.6
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 福岡県 第35108号
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- 登録年
- 昭和35年