D4164【白鞘脇差】祐定
銘「祐定」と切られた、白鞘入りの脇差です。身幅広く力強さを感じさせる姿に、鎬造・庵棟を備えた典型的な脇差の造りを示しています。地鉄は板目肌、刃文は直刃にやや湾れを交える穏やかな趣を持ち、落ち着いた美観を醸し出しています。切先は中切先、生茎に栗尻、銅ハバキを備え、保存状態も良好で、さびや刃こぼれも見られません。
「祐定」は室町後期から江戸期にかけて備前国(現在の岡山県)で最も栄えた刀工一派の名で、数代にわたり多くの刀を残した名門です。なかでも江戸時代中期の祐定は、武用と鑑賞を兼ねた堅実な作風が特徴で、当時の武士階層に広く愛用されました。本作もその流れを汲む一口であり、穏やかな直刃調の刃文と幅広な体配は、武士の実用性を重んじる時代背景を映しています。
江戸時代中期は泰平の世が続き、武士の刀も実戦から護身・威厳を示す道具としての意味合いが強まりました。本品のような脇差は、武士の必携刀として日常的に佩用され、身分や品格を表す重要な存在でした。健全な状態を保った本刀は、コレクションや鑑賞に適するだけでなく、歴史的背景を感じられる価値ある一振といえるでしょう。
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- 銘
- 祐定
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- 時代
- 江戸時代中期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 389g
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- 刀長
- 36.1cm
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- 反り
- 0.7
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 石川県 第22141号
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- 登録年
- 昭和55年