D4180【白鞘脇差】無銘
江戸時代中期、徳川による泰平の世が続き、武家文化が爛熟した時代に打たれた無銘の白鞘脇差です。この時代、刀剣は戦場での実用具として以上に、武士の身分を示す「魂」の象徴であり、また日常の護身用具として重要な役割を担っていました。
本作は、その実用性を色濃く反映した一振りです。鎬造(しのぎづくり)で身巾が広く、大切先(おおきっさき)で仕立てられた姿は、平和な時代でありながらも古作を思わせるような、非常に豪壮で力強い印象を与えます。地鉄は板目肌がよく見て取れ、刃文は直刃(すぐは)を基調に互の目(ぐのめ)が交じる、変化に富んだものです。
刀工については無銘ですが、茎(なかご)は磨り上げや区送りがされていないオリジナルのままの「生茎(うぶなかご)」です。これは、高名な銘に頼らずとも、その優れた出来(でき)と健全さで勝負できるという、刀工の自信の表れかもしれません。
竹の彫り物が施された風流な銅ハバキが付属。錆や刃こぼれもなく、江戸中期の武士の「備え」としての息吹を今に伝える、状態良好な優品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 405g
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- 刀長
- 44.7cm
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- 反り
- 0.7
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.3
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- 登録番号
- 東京都 第180190号
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- 登録年
- 昭和48年