D4183【白鞘脇差】正廣
肥前国の名工「正廣(まさひろ)」による、江戸時代初期の白鞘脇差です。正廣は肥前刀を代表する初代忠吉門下の一人で、佐賀藩主・鍋島家に仕えた御用刀工として知られます。肥前刀特有の小糠肌(こぬかはだ)を見事に鍛え出し、乱れこころの直刃に足入り、さらに二重刃がかかるなど、繊細で気品ある作風を示しています。鎬造・庵棟、大切先の堂々とした姿に加え、生茎・剱形の健全な状態を保ち、時代を経てもなお研ぎ減りの少ない良姿を留めています。銀祐乗ハバキが添えられ、丁寧な仕立てからも上級武士の佩刀であったことがうかがえます。
江戸初期、平和の訪れとともに実用から美の時代へと移りゆく中で、肥前刀はその均整のとれた地刃と上品な光沢で全国に名声を博しました。本脇差はまさにその時代の息吹を伝える逸品であり、肥前刀の品格と技術の粋を今に伝える美術刀剣です。
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- 銘
- 正廣
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 463g
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- 刀長
- 50.8cm
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- 反り
- 1.2
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 2.1
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 佐賀県 第26232号
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- 登録年
- 昭和60年