D4186【白鞘脇差】無銘
室町時代中期(15世紀頃)に製作されたと見られる無銘の白鞘脇差です。戦国の幕開けを迎えるこの時代は、実戦用としての機能美が重視され、刀剣には堅牢さと実用性が求められました。本脇差もその例に漏れず、鎬造・庵棟の典型的な姿を見せ、身巾が広く、どっしりとした力強さを感じさせます。
地鉄は板目肌が流れ、地景がよく働き、時代の刀らしい野趣に富む出来。刃文は直刃にくいちがい交じり、静かな中にも変化が見られ、実用刀としての気迫を漂わせています。中切先で姿の均整も取れており、いかにも戦国期の実用脇差といった風格です。
茎(なかご)は生ぶで栗尻、平行なヤスリ目を残し、金色ハバキが上品に添えられています。銘は無いものの、全体の作風や力強い地鉄から、山城・備前・美濃などの有力刀工圏の作と見られ、室町期の武士が腰に帯びた実戦刀の姿を今に伝えています。保存状態も良く、錆・刃こぼれなく、歴史を感じさせる貴重な一振です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代中期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 540g
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- 刀長
- 53.6cm
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- 反り
- 1.9
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- 元幅
- 3.1
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 静岡県 第34986号
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- 登録年
- 昭和40年