E4199【拵付脇差】無銘
室町時代中期(15世紀頃)に製作された無銘の拵付脇差です。時代の荒波の中を生き抜いた実用刀ながら、保存状態は良好で、錆はなく、刃文も鮮明に残る優品です。造りは鎬造・庵棟、肌は板目に杢目を交えた美しい地鉄を見せ、刃文は乱れに互の目が交じる華やかな出来。中切先を備え、実戦刀としての機能美を兼ね備えています。茎(なかご)は生茎で栗尻を呈し、時代の手を加えられていない点も貴重です。
外装は黒塗りの艶鞘に丸形鉄ツバを合わせ、落ち着いた品格を感じさせます。銅二重ハバキが丁寧に装着されており、刀身との調和も美しい仕立てです。刃こぼれが数ヶ所見られるものの、これは実戦での使用痕跡を伝える「歴史の証」であり、むしろこの時代の刀のリアルな姿を今に伝えています。
戦国時代の前夜、武士たちが日々の合戦に備えた時代に鍛えられた本脇差は、中世武士の精神と美意識を映す歴史資料的価値をもつ一本です。
-
- 銘
- 無銘
-
- 時代
- 室町時代中期
-
- 刃紋
- 乱
-
- 目釘
- 2
-
- 重量
- 305g
-
- 刀長
- 44.8cm
-
- 反り
- 1
-
- 元幅
- 2.6
-
- 元重
- 0.5
-
- 先幅
- 1.8
-
- 先重
- 0.4
-
- 登録番号
- 岐阜県 第55015号
-
- 登録年
- 昭和53年