D4224【白鞘脇差】正次
江戸時代初期に制作されたと見られる銘「正次」の白鞘脇差です。天下泰平の世が始まった江戸初期は、実戦性と美術性の両立が強く求められた時代であり、刀剣には武用の堅牢さに加え、端正で品格ある姿が備えられました。本脇差もその時代性をよく伝える一振です。
鎬造・庵棟の端正な造込みに、小糠肌のよく詰んだ地鉄が映え、鍛え割れなどの欠点は見られません。刀身は全体に澄み、保存状態の良さが際立っています。刃文は鮮明な湾れが連なり、穏やかさの中に凛とした緊張感を湛え、江戸初期刀らしい落ち着いた美意識を感じさせます。切先は大切先で、姿全体に伸びやかさと力強さを与えています。
茎は生茎で栗尻、鑢目も自然で、時代を経た確かな風格があります。さらに両面に棒樋を掻き通しており、実用性と意匠性を兼ね備えた構成となっています。銅祐乗ハバキが付属し、格式ある拵えにも十分応えうる一口です。
銘「正次」は各地に見られる刀工名であり、特定の一流流派に断定することは控えるべきですが、本作からは江戸初期刀工に共通する丁寧な鍛錬と、武家社会の安定期にふさわしい均整の取れた作風が読み取れます。鑑賞用としてはもちろん、江戸初期という時代背景を学ぶ資料的価値も高い、完成度の高い脇差です。
-
- 銘
- 正次
-
- 時代
- 江戸時代初期
-
- 刃紋
- 乱
-
- 目釘
- 2
-
- 重量
- 441g
-
- 刀長
- 53.3cm
-
- 反り
- 1.2
-
- 元幅
- 2.8
-
- 元重
- 0.7
-
- 先幅
- 2
-
- 先重
- 0.4
-
- 登録番号
- 愛知県 第53713号
-
- 登録年
- 昭和52年