F4233【薙刀】無銘
江戸時代中期に制作されたと見られる無銘の薙刀です。薙刀は平安期から中世にかけて戦場で活躍した武器である一方、江戸時代に入ると実戦用としてだけでなく、武家女性の嗜みや武芸鍛錬、また武家屋敷の守りとしての性格を強めていきました。特に江戸中期は社会が安定し、刀剣制作においても実用性と美観の両立が重視された時代です。
本作は板目肌がよく現れ、地鉄の健全さが感じられます。刃文は互の目を主体に丁子が交じり、変化に富んだ華やかさを備えており、江戸期らしい鑑賞性の高さが魅力です。両面には棒樋丸留め(約8.5cm)と添樋(約15cm)が施され、重量の調整とともに姿全体を引き締める意匠となっています。茎から切先まで約74cmと堂々とした刃長を持ちながら、重量は約536gと比較的扱いやすく、保存状態も良好で、さびや刃こぼれは見られません。
無銘ではありますが、作風からは江戸中期に多く活動した在地刀工による堅実な作と考えられます。特定の名工に比定することはできないものの、実用を意識しつつも刃文や彫りに美意識が反映された点は、この時代の薙刀の特徴をよく示しています。白鞘に収められ、全長135.5cmと存在感があり、武具としてはもちろん、和の空間を彩る古美術品としても高い価値を有する一振りです。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 536g
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- 刀長
- 39.3cm
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- 反り
- 2.6
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 2.9
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 神奈川県 第52077号
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- 登録年
- 昭和47年