A4035【白鞘刀】鎮方
江戸時代中期、太平の世が続く中で、武士たちは実戦の場を離れ、精神性や格式を重んじる時代へと移行していきました。そのような背景のもと鍛えられた本刀は、銘「平鎮方」(たいらしげまさ)による一振りで、当時の刀工の技と美意識が見事に結実しています。
本刀は、鎬造り・庵棟を持ち、板目肌に乱れ調の直刃が映える端正な姿。中切先を備え、姿形には品格があり、茎(なかご)は磨上げながらも「平鎮方」と明確な銘が残されています。銀製の縦筋ハバキ、刃こぼれや錆もない良好な保存状態を保っています。
また、日本美術刀剣保存協会による鑑定書付きで、真贋および価値が公式に認められた逸品です。実用よりも精神性と審美性を重視した江戸中期ならではの作刀美を今に伝える、まさに武士の心を映す日本刀と言えるでしょう。
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- 銘
- 鎮方
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- 時代
- 江戸時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 632g
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- 刀身
- 62.9cm
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- 反り
- 1.3
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- 元幅
- 2.9
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 東京都 第64232号
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- 登録年
- 昭和30年