C4036【軍刀】永弘
本品は、幕末の動乱期、元治元年(1864年)二月に周防国で鍛えられた銘「永弘」による軍刀です。江戸時代末期は、国内が尊皇攘夷運動や外国勢力との緊張に揺れる激動の時代であり、武士たちは再び実戦の機会に備える必要に迫られていました。本刀は、まさにそのような歴史のうねりの中で生まれた一振りです。
鎬造・庵棟に小糠肌(こぬかはだ)が美しく現れ、湾れを基調とした刃文には鮮明な互の目が交じり、見る者を魅了します。大切先の力強い姿もまた、時代の緊張感を如実に物語ります。茎(なかご)は生ぶで栗尻、「周防国住永弘」と銘が刻まれています。ハバキは銀製の祐乗(ゆうじょう)ハバキ、状態も極めて良好で、錆や刃こぼれはありません。
本刀は、昭和13年式皮巻軍刀拵に収められており、白鞘も付属。幕末の刀匠の技と、昭和の軍装が融合した、歴史的・美術的価値の高い一振りです。戦乱の時代に生まれ、時を越えて現代に伝わるこの刀が、次なる継承者のもとで再び輝くことを願っております。
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- 銘
- 永弘
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- 時代
- 江戸時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 730g
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- 刀身
- 66.7cm
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- 反り
- 1.2
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- 元幅
- 3.1
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 2
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 奈良県 第7386号
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- 登録年
- 昭和35年