E4037【拵付脇差】無銘
江戸時代中期、太平の世に入り武士の刀は実戦の道具から、威儀や美意識を映す象徴へと変化していきました。本品はそのような時代に打たれた、無銘の拵付脇差です。無銘ながらも、刀身には板目肌が浮かび、中切先の姿も端正。摺上げられた茎は当時の実用刀であったことを物語っています。
本刀には一部錆が見られるものの、刃こぼれはなく、素人研ぎながらも全体の姿を損なっておらず、保存状態はまずまず良好といえます。銀の二重ハバキが装着され、拵は黒石目塗の鞘に栗形、縁金はなく簡素な造りながら、丸形の鉄ツバとともに実用本位の趣を感じさせます。なお、拵には一部破損があります。
特筆すべきは、本脇差が沖縄県で登録されたという点で、沖縄に現存する日本刀としては非常に珍しい一振りです。歴史的背景や地域的価値を含め、収集家にとっても見逃せない逸品。時代と土地に育まれた、静かな存在感を放つ脇差です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代中期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 469g
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- 刀身
- 47.8cm
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- 反り
- 1.7
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- 元幅
- 3.2
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 2.3
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 沖縄県 第1139号
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- 登録年
- 令和7年