E4040【拵付脇差】廣光
江戸時代中期、天下泰平の世が続く中で、日本刀は戦場の武器としての役割を終え、武士の精神性や美意識を象徴する存在として新たな価値を持ち始めました。本脇差は、そんな時代に相州(現在の神奈川県)で鍛えられた、「相州住廣光」銘の一振りです。相州鍛冶は鎌倉時代から続く名門で、力強く華やかな作風を得意とすることで知られます。
本刀は鎬造・庵棟に整い、地肌は板目肌がよく現れ、刃文には深い湾れと浅い湾れが交互に現れる趣き深い仕上がりとなっています。小切先の姿も端整で、時代を感じさせる品格があります。茎(なかご)は生ぶで栗尻、刀匠の銘「相州住廣光」がしっかりと刻まれています。
研ぎ立ての刀身は、もちろん刃こぼれや錆もなく、美しい状態です。拵は黒石目塗の鞘に、丸形の銅ツバ、銅ハバキが付属し、実用性と装飾性を兼ね備えています。静けさの中に凛とした気迫を宿すこの脇差は、まさに江戸中期の武士の美意識を今に伝える逸品です。
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- 銘
- 廣光
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- 時代
- 江戸時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 323g
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- 刀身
- 43.6cm
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- 反り
- 0.8
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- 元幅
- 2.6
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.6
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 新潟県 第073632号
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- 登録年
- 令和6年