B4048【拵付刀】正泰
本刀は、昭和時代に尾張国(現・愛知県)で鍛刀された「尾州住真野正泰鍛之」銘の拵付刀です。昭和期は戦前・戦中の軍刀需要や、戦後の美術刀剣としての復興期など、日本刀の歴史のなかでも大きな転換期であり、多くの刀工が伝統技術の継承と新たな価値の創造に取り組んだ時代でした。
本刀の造りは鎬造・庵棟で、詰んだ板目肌により、地鉄にはしっとりとした品格が漂います。刃文は尖り互の目が交じる変化のある焼きが特徴で、現代刀ながらも古作に倣った技法が見て取れます。中切先の均整のとれた造形は、鑑賞性と実用性の両面を意識した仕上がりといえるでしょう。
茎は生ぶで「尾州住真野正泰鍛之」の銘が丁寧に刻まれており、銅ハバキや丸形透かしの鉄ツバといった拵えの細部にも、刀身との調和が感じられます。黒塗のツヤ鞘には一部輪ゴム状の剥がれがありますが、全体としては良好な保存状態です。
昭和という時代の中で、伝統に真摯に向き合いながら制作されたこの刀は、現代刀工の技術と精神を体現した一振です。鑑賞用としてはもちろん、戦後日本の刀剣文化に興味のある方にもおすすめの逸品です。
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- 銘
- 正泰
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- 時代
- 昭和時代
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 714g
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- 刀身
- 62.1cm
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- 反り
- 1.2
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- 元幅
- 3.2
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 2.2
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 大阪府 第46638号
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- 登録年
- 昭和40年