E4055【拵付脇差】無銘
室町時代末期に鍛えられたと推定される無銘の一振で、実戦と美を兼ね備えた魅力的な拵付脇差です。室町末期は戦国時代の最中であり、武将たちが日常的に刀を携える戦乱の時代でした。そのため、刀工たちは実用性と堅牢性を重視しながらも、身につける者の格式を示す美しさにも配慮した刀剣を数多く生み出しました。
本刀は鎬造・庵棟の造りで、地鉄は杢目肌が流れるように現れ、刃文は直刃を基調に乱れが交じることで、穏やかな中にも動きを感じさせます。小切先で取り回しも良く、両面に施された棒樋は丸留め仕上げで、軽量化と装飾性を兼ね備えた技巧が光ります。
茎は生ぶで栗尻仕立て、時代を経た古刀ならではの風格が漂います。金色と銀色の二重ハバキが上品さを添え、松葉模様が施された茶ツヤの鞘は、渋さと華やかさを併せ持った美しい意匠です。丸形透かしの鉄ツバも、刀身との調和を考慮した趣深い造りとなっています。
実戦刀としての実用性を備えながら、拵にも細やかな工夫が施された本作は、戦国期の武士の美意識と実用性を象徴する一振です。古刀の魅力を味わいたい方に是非おすすめしたい、歴史を語る逸品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 455g
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- 刀身
- 52.4cm
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- 反り
- 1.2
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- 元幅
- 2.7
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.6
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 宮城県 第7354号
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- 登録年
- 昭和30年