E4056【拵付脇差】無銘
室町時代末期に鍛えられたと推定される無銘の一振で、戦国の世を生き抜いた実戦刀としての風格を今に伝える拵付脇差です。室町末期は、各地で群雄割拠が続き、刀剣の需要が飛躍的に高まった時代。特に脇差は、戦場のみならず日常の護身や室内戦にも適した携帯性の高い武器として、武士の側に常に置かれました。
本作は鎬造・庵棟のしっかりとした構造を持ち、地鉄は板目肌が整い、互の目が連続する乱れ刃が豪快に焼かれ、戦国期らしい力強さを感じさせます。小切先も鋭く引き締まっており、実用刀としての機能美が光る造りです。刃こぼれが1か所あるものの、全体の保存状態は良好で、さびもなく、古刀として非常に健全な部類といえます。
茎は生ぶで、栗尻の形状がしっかりと残されており、時代の古さを証明しています。台付銅ハバキは実用性を備えつつも、丁寧な仕上がり。拵には黒塗りのツヤ鞘と丸形の透かし鉄ツバが備わり、実戦と装飾のバランスが取れた、当時の武士の実用美が反映されています。
無銘ながらも、時代背景を色濃く反映した実直な一振。戦国期の刀剣文化に触れたい方、また古刀のリアルな雰囲気を味わいたい方にぜひおすすめしたい逸品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 458g
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- 刀身
- 53cm
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- 反り
- 1.6
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- 元幅
- 2.9
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 宮城県 第34114号
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- 登録年
- 昭和58年