A4058【白鞘刀】忠廣
江戸時代初期に肥前国で鍛えられた名工「肥前国住近江大掾藤原忠廣」による白鞘入りの一振です。忠廣は、初代忠吉の子として知られ、父の卓越した作刀技術を継承しつつ、より安定感と品格を備えた刀を多く世に送り出しました。江戸初期は、戦乱が収束し、武士の刀が実用から格式・美術性へと役割を変えていく時代。このような背景の中で、忠廣の作は武士たちに高く評価され、鍋島藩の御用刀工としても重用されました。
本刀は、鎬造・庵棟の端正な造りに、小糠肌と称される非常に細かく整った地鉄が美しく現れます。刃文は直刃を基調としつつ、乱れごころが交じる変化に富んだ仕上がりで、控えめながらも柔らかな動きが感じられる、いかにも忠廣らしい上品な作風です。中切先のバランスもよく、見る者に安定感を与えます。
茎は生ぶで「肥前国住近江大掾藤原忠廣」と銘が刻まれており、銅の二重ハバキが刀身に安定感を与えています。さらに、著名な鞘書家・寒山氏による鞘書が添えられており、本刀の価値と信頼性を一層高めています。
肥前刀の名品として、美術的にも歴史的にも優れた価値をもつ一振。保存状態も良好で、鑑賞用・収蔵用として高くおすすめできる逸品です。
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- 銘
- 忠廣
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 644g
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- 刀身
- 66.6cm
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- 反り
- 2
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- 元幅
- 3.1
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 兵庫県 第89516号
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- 登録年
- 昭和52年