D4059【白鞘脇差】兼信
本脇差は、戦国の世が最も激しさを増した室町時代末期に鍛えられたとされる一振で、銘は「濃州関住兼信」。関鍛冶の名で知られる兼信の作でありながら、極めて珍しい「折返し銘」を備えた白鞘入りの貴重な作品です。折返し銘とは、磨上げにより本来の銘が一部失われた後、切断された銘を折り返すことで銘文を保存しようとした特殊な手法で、極めて限られた古刀にしか見られない重要な痕跡です。
本刀は鎬造・庵棟のしっかりとした構造で、詰んだ板目肌が時代の古さを語り、直刃調を基調としつつも、互の目に足が入る変化のある刃文が、見る者に緊張感と美しさを同時に伝えます。小切先の形も端正で、全体に調和のとれた姿を保っています。
茎は磨上げられており、折返し銘により「濃州関住兼信」と確認できる点が、この刀の資料的価値を一層高めています。銅ハバキも丁寧に仕立てられており、白鞘に収められた状態で、保存・鑑賞のいずれにも適しています。刃こぼれやさびもなく、状態も良好です。
乱世に鍛えられ、幾多の時代を超えて今に伝わる戦国刀のひと振。実用美と歴史性を兼ね備え、また折返し銘という希少性から、刀剣愛好者や古刀コレクターにとって見逃せない逸品です。
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- 銘
- 兼信
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 436g
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- 刀身
- 51.9cm
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- 反り
- 0.8
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 東京都 第1441号
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- 登録年
- 令和6年