A4062【白鞘刀】忠行
本刀は、江戸時代初期に摂津国(現・大阪府周辺)で活躍した刀工「摂州住藤原忠行」による白鞘入りの一振で、日本美術刀剣保存協会の保存刀剣鑑定書付きという確かな来歴を持つ逸品です。江戸初期は、戦国の混乱が終息し、刀剣が単なる武器から武士の威厳や教養を表す象徴へと移行していった時代であり、この刀もその時代背景を色濃く反映しています。
刀身は鎬造・庵棟の堅牢な造りで、板目が詰んだ美しい地鉄に、豪快な大乱れの刃文が映えます。刃縁には変化に富んだ働きが見られ、見る角度によって表情を変える躍動感ある仕上がりとなっています。小切先で大丸という穏やかで品のある切先形状も特徴的で、全体の造形に柔らかなバランスをもたらしています。
茎は生ぶで「摂州住藤原忠行」と銘があり、栗尻の形状が時代の古さを物語ります。金色の二重変りハバキが華やかさを添え、格式ある白鞘と相まって、美術刀剣としての完成度を高めています。
忠行は摂津を代表する刀工の一人とされ、その作品は実用性と芸術性の両立が高く評価されています。本刀は、江戸初期の風格を備えた上質な一振であり、コレクターや愛刀家にとって見逃せない逸品です。
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- 銘
- 忠行
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 3
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- 重量
- 618g
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- 刀身
- 63.1cm
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- 反り
- 0.7
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- 元幅
- 3.1
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 神奈川県 第47947号
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- 登録年
- 昭和44年