D4066【白鞘脇差】無銘
徳川家康が天下を統一し、戦乱の世から平和の時代へと移り変わった江戸時代初期は、日本刀の美しさと実用性が共存する時代でした。
この無銘の白鞘脇差は、まさにその時代の職人技と美意識を映し出しています。小杢目肌が整い、よく鍛えられた地鉄は非常に美しく、鮮明な互の目丁子乱れが華やかさを添えています。小切先の鋭さと「切」の刻印が、実用性と刀匠の矜持を感じさせ、当時の武士たちが戦乱に備えつつも平和の時代に刀を身につける姿が思い浮かびます。ヤスリ目は見えず、台付銅ハバキが品格を加え、50cm超えの長脇差という点も、護身用としての安心感と見た目の迫力を備えています。
江戸初期の武士は、表向きは平和の象徴として刀を腰に差しながらも、常に誇りと武士の本懐を胸に抱いていました。この脇差もまた、その精神を今に伝える一振です。無銘でありながら、地鉄や刃文の美しさが際立つこの脇差は、コレクションはもちろん、歴史の息吹を感じる一品としておすすめです。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 421g
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- 刀長
- 53.6cm
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- 反り
- 0.2
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.5
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 神奈川県 第69239号
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- 登録年
- 平成4年