D4067【白鞘脇差】無銘
室町時代末期は、応仁の乱以降、日本中が戦乱に揺れ動いた動乱の時代でした。武士たちは生き残りを懸け、実用性と堅牢さを兼ね備えた刀剣を求め、その中で生まれたのがこの無銘の白鞘脇差です。
鎬造に庵棟という堅実な造りで、実戦に耐えうる強度を備えつつ、美しさも兼ね備えています。地肌は小杢目が詰み、繊細かつ緻密な鍛えが施され、湾れに互の目が入る刃文が穏やかながらも力強い印象を与えます。中切先と小丸の形状は、実戦だけでなく護身用としても適したバランスを持ち、武士の日常に寄り添った存在であったことを物語ります。生茎に平行なヤスリ目、栗尻の形状、そして一重ハバキの簡素ながらも品格のある仕立ては、当時の刀匠の手仕事の妙を感じさせます。さびや刃こぼれのないきれいな刀身は、時を超えてその輝きを保ち、室町末期の戦国の息吹を現代に伝えています。
無銘であれど、刀匠たちの技と誇りが込められた一振を、ぜひ手に取ってその魅力をお確かめください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 385g
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- 刀長
- 44.2cm
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- 反り
- 1
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- 元幅
- 2.7
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 埼玉県 第78851号
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- 登録年
- 平成24年