D4068【白鞘脇差】無銘
江戸時代初期、戦乱の世が終息し、徳川家康による天下統一の後、泰平の世が訪れました。しかし武士たちは平和の中でも己を律し、刀を帯びる習慣を大切にしていました。
この無銘の白鞘脇差は、そんな江戸初期の時代背景を色濃く映し出す一振です。鎬造に庵棟という堅実な造りは、武士の日常を支える実用刀の特徴であり、板目の詰んだ鍛えの良い地肌に、直刃調に互の目が乱れる鮮明な刃文が見事に映えています。中切先の鋭さと大丸の先端は、優れた切れ味と実戦向きの設計を物語り、生茎に平行なヤスリ目や栗尻の形状は、当時の職人の丁寧な手仕事を感じさせます。金色と黒の二重ハバキが、華美すぎず、それでいて上品な風合いを演出し、刀身の輝きを引き立てています。さびや刃こぼれはなく、保存状態も良好。
江戸初期、武士たちが威厳を保ちながらも平和な日常を送り、刀を心の拠り所とした時代の空気を今に伝える脇差です。無銘ながら、匠の技と歴史の重みを感じさせる逸品を、ぜひ手に取ってご覧ください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 3
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- 重量
- 305g
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- 刀長
- 41.6cm
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- 反り
- 1
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- 元幅
- 2.6
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.7
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 岐阜県 第23195号
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- 登録年
- 昭和39年