A4069【白鞘刀】無銘
昭和時代、日本は激動の時代を迎えました。大正末期から昭和初期にかけては大正デモクラシーの自由な風潮が残りつつも、次第に国際情勢が緊張し、やがて戦中を経て戦後復興の時代へと移り変わりました。そんな時代背景の中、この無銘の白鞘刀は生まれました。
鎬造に庵棟という堅実な造りは、実戦における強度を意識した設計。梨地肌が落ち着いた光沢を放ち、湾れに互の目が交じる刃文は、昭和の刀工たちの技術と美意識の結晶です。大切先の力強い形状は、より深い刺突力を意図した実用的な設計であり、武道家や軍関係者が携行した時代背景を想起させます。
生茎には栗尻、平行なヤスリ目が残り、木製ハバキが簡素でありながらも実用本位な印象を与えます。さらに、71cmを超える長い刀身は、堂々とした存在感を誇り、見る者を圧倒します。
さびや刃こぼれもなく、きれいな状態を保つこの一振は、昭和の時代に刀剣が実用品から次第に象徴的存在へと移り変わる過渡期の空気を感じさせる逸品です。現代に残る昭和刀の魅力を、ぜひご堪能ください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 昭和時代
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 706g
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- 刀長
- 71.5cm
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- 反り
- 1.3
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 2.1
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 大分県 第25388号
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- 登録年
- 昭和50年