B4070【拵付刀】無銘
昭和時代は、戦争と復興、そして高度成長期という激動の流れを歩んだ時代でした。日本刀の世界もまた、古来からの伝統を守りつつ、時代の変化に適応した独自の進化を遂げました。
この無銘の拵付刀は、昭和時代に生まれた一振で、鎬造・庵棟という堅実な構造を持ち、実用性と美しさを兼ね備えています。無地肌に直刃が乱れ、互の目が交じる刃文は、素朴ながらも力強い印象を与えます。中切先の形状は、実戦にも耐える造りで、武道家や関係者が佩用した昭和刀らしい風格が漂います。生茎に栗尻、銀色の祐乗ハバキが、刀身と鞘をしっかりと支え、鞘尻に石突をあしらった若狭塗鞘が上品な光沢を放ちます。丸形で高肉、金象嵌が施された鉄ツバは、華やかさと堅牢さを兼ね備え、装飾性の高さを誇ります。さびや刃こぼれのない状態からは、昭和の刀匠たちが誠実に守り抜いた伝統と技術の息吹を感じさせます。
無銘であれど、時代の空気を映し出すこの一振は、実用から観賞用まで幅広く愛でることができる逸品です。昭和の歴史とともに歩んだ刀剣の魅力を、ぜひ手に取って感じてください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 昭和時代
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 696g
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- 刀長
- 64cm
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- 反り
- 2
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- 元幅
- 3.1
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 埼玉県 第59551号
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- 登録年
- 昭和63年