E4071【拵付脇差】無銘
室町時代中期は、応仁の乱を控えた動乱の時代。武士たちは戦乱に備え、実戦に耐えうる刀剣を求めていました。
この無銘の拵付脇差は、そんな時代背景を色濃く映す一振です。鎬造に庵棟、柾目肌の鍛えが施され、地鉄の力強さと堅牢さが伝わります。直刃のシンプルで実用的な刃文に、中切先と磨上茎、切銘を備え、磨上げによる茎の変化からも長年の使用と手入れの跡が感じられます。銅ハバキが刀身を支え、黒石目鞘は落ち着いた風合いを持ち、使用と保存の両立を意識した造りです。丸形の高肉彫鉄ツバや、金象嵌入りの縁金と頭が拵に華を添え、実用性の中にも装飾美を忍ばせています。さらに小柄付であり、小柄櫃に剥がれが見られる点も、実際に使用された歴史を物語ります。
室町中期は、戦乱の予感と不安が社会を覆う中、武士たちが刀剣に「命を預ける道具」としての役割を強く求めた時代。この脇差も、無銘ながらそんな時代の空気を今に伝える、実戦向けかつ歴史を語る逸品です。どうぞ手に取って、その佇まいから室町の息吹を感じ取ってください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代中期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 452g
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- 刀長
- 49.4cm
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- 反り
- 1.1
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 東京都 第321809号
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- 登録年
- 令和2年