B4073【拵付刀】無銘
昭和時代は、戦前の激動から戦後復興、そして高度経済成長期へと続く、日本刀文化の大きな転換点となった時代です。
この無銘の拵付刀は、そんな時代背景を色濃く映した一振。鎬造に庵棟という堅実な造りに、梨地風の無地肌が落ち着いた趣を漂わせています。太直刃は昭和刀特有の実用性を感じさせ、中切先の形状は居合や抜刀の実用に適した設計です。生茎に栗尻、真鍮製ハバキが装着され、黒塗ツヤ鞘の光沢と相まって、質実剛健かつ上品な印象を与えます。
特筆すべきは、両面に虎図の金象嵌が施された鉄ツバ。勇壮で迫力のある虎の意匠は、持ち主の武士道精神や勇猛果敢な気質を象徴しています。さらに茎両面には、かつてあった銘を削り取った跡が残されており、この刀が昭和時代以前から存在し、何らかの事情で銘を削られた可能性を感じさせます。
さびや刃こぼれはなく、保存状態も良好。無銘ながら、時代の重みと刀匠の技、そして歴史の余韻を今に伝える一振です。昭和の時代を超え、現代に語り継ぐべき逸品として、ぜひその手でご覧ください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 昭和時代
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 3
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- 重量
- 772g
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- 刀長
- 67cm
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- 反り
- 1.4
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- 元幅
- 3.2
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- 元重
- 0.8
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- 先幅
- 2.1
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 福島県 第30589号
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- 登録年
- 昭和43年