B4075【拵付刀】無銘
室町時代中期は、応仁の乱に向けて国内が不安定さを増し、戦乱の時代へと突入する前夜ともいえる時期でした。武士たちはその厳しい時代背景の中、より実戦に耐える刀剣を求め、質実剛健な作りの刀が生み出されました。
この無銘の拵付刀も、そんな時代を色濃く反映した一振です。鎬造、庵棟の堅実な造りに、小板目肌が詰み、細めの刀身は実用性と携行性を重視した設計となっています。直刃のシンプルな刃文が、無駄のない実戦向きの美しさを感じさせ、小切先と両面に施された棒樋丸留めは、軽量化と操作性向上を意図した機能美を示しています。生茎に栗尻、銅ハバキ、黒塗ツヤ鞘、革巻き柄、木瓜形の鉄ツバといった拵は、戦乱の世で武士たちが常に備えを怠らなかった証。
無銘でありながらも、当時の刀匠が魂を込めて鍛えたことが伝わる一品です。さびや刃こぼれはなく、保存状態も良好。室町中期の時代背景と、武士たちの実用性を重視した価値観が宿るこの刀は、歴史の息吹を現代に伝える貴重な存在です。ぜひ手に取り、その佇まいから、戦国前夜の武士たちの心意気を感じてみてください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代中期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 436g
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- 刀長
- 65.5cm
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- 反り
- 2
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- 元幅
- 2.6
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- 元重
- 0.5
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- 先幅
- 1.4
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- 先重
- 0.3
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- 登録番号
- 宮城県 第7640号
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- 登録年
- 昭和31年