E4078【拵付脇差】宗〇
室町時代初期は、南北朝時代の混乱が落ち着き、足利将軍家の下で文化と武士の秩序が整い始めた時代でした。しかし地方では依然として争いが続き、武士たちは常に戦いに備えていました。
この「宗〇」銘を持つ拵付脇差は、そんな動乱期を映し出す一振です。平造りで、板目に柾目が交じる地肌は、当時の刀鍛冶の技と美意識を伝え、乱れ刃の刃文は、まるで戦場での激しさを彷彿とさせます。中切先は実用的でありながらも優美さを持ち、生茎の栗尻や、表の二筋樋、裏の棒樋掻き流しが刀身に独特の存在感を与えています。銅ハバキに加え、青貝散の鞘が装飾性を高め、丸形ふくりんの鉄ツバが、時代背景を物語る重厚感を醸し出しています。
「宗〇作」と銘されたこの脇差は、無銘ではないことからも、作者の誇りと技の粋が伝わります。さびや刃こぼれも見られず、保存状態は良好。南北朝から室町初期にかけての武士たちが実用と美を追求した精神が、この一振に宿っています。時代の息吹と職人の心意気を、ぜひその手で感じてください。
-
- 銘
- 宗〇
-
- 時代
- 室町時代初期
-
- 刃紋
- 乱
-
- 目釘
- 2
-
- 重量
- 243g
-
- 刀長
- 37.1cm
-
- 反り
- 1.1
-
- 元幅
- 2.8
-
- 元重
- 0.5
-
- 先幅
- 1.6
-
- 先重
- 0.3
-
- 登録番号
- 山口県 第25434号
-
- 登録年
- 昭和49年