E4080【拵付脇差】無銘
室町時代末期は、応仁の乱から続く戦国の世が深まり、武士たちが戦場において命を預ける刀剣の実用性を最優先した時代でした。
この無銘の拵付脇差は、そんな戦乱の時代を映し出しています。鎬造、庵棟の造りに、板目肌の地鉄が力強さと素朴さを感じさせ、互の目乱れの刃文は、見る者に時代の荒波を思わせる勇ましさを伝えます。小切先と生茎、栗尻の形状は、護身用や実戦向きの機能美を示し、銅祐乗ハバキと丸形鉄ツバが、武士の実用本位の美学を体現しています。黒鞘には剥がれが見られるものの、それもまた長い時を経てきた歴史の痕跡。保存状態も良好で、さびや刃こぼれはなく、脇差としての存在感を保っています。
戦国時代末期には、戦乱に備えて脇差を常に携えた武士が多く、無銘であっても実戦に耐えうる刀剣は重宝されました。現代では10万円台という手頃な価格で、室町末期の息吹を感じられる脇差を手に取れるのは貴重な機会です。戦国の世を生きた武士たちの誇りと、鍛冶師の技術を今に伝える一振を、ぜひご覧ください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 381g
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- 刀長
- 44.3cm
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- 反り
- 1.1
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- 元幅
- 2.6
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.7
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 兵庫県 第71862号
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- 登録年
- 昭和47年