E4081【拵付脇差】無銘
江戸時代初期、戦国の混乱を経て徳川家康による天下統一が成され、長きにわたる平和の礎が築かれました。しかし、武士たちにとって刀剣は依然として武士道を象徴する存在であり、常に携えるべきものでした。
この無銘の拵付脇差は、そんな時代の空気を感じさせる一振です。鎬造、庵棟の堅実な造りに、板目が流れて柾目が交じる地肌は、鍛冶師の技と時代背景を映し出しています。直刃のシンプルな刃文は、飾り気を抑えた実用刀らしい潔さを持ち、中切先と磨上茎、切銘が、実用に耐えた刀としての歴史を感じさせます。刀身は58.3cmと、刀に近い長さを誇るため、拵としても迫力があり、実用性を兼ね備えています。銅ハバキが刀身を引き締め、黒塗ツヤ鞘(修理箇所有)と丸形透かし鉄ツバが、当時の武士の嗜みと工夫を物語ります。さびや刃こぼれはなく、保存状態も良好です。
平和を享受しつつも、武士としての誇りを忘れなかった江戸初期の武士たちの心意気が、この一振に宿っています。ぜひその手で、時代を超えた美と実用の融合をお確かめください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 496g
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- 刀長
- 58.3cm
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- 反り
- 1
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- 元幅
- 3.1
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.7
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 東京都 第328351号
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- 登録年
- 令和6年