D4084【白鞘脇差】無銘
江戸時代初期、戦国の荒波が静まり、徳川幕府の下で安定と秩序がもたらされました。しかし、武士たちにとって刀剣は依然として日常生活に欠かせない存在であり、武士道の象徴として重んじられていました。
この無銘の白鞘脇差は、そんな時代背景を映し出す一振です。鎬造に庵棟の堅実な造り、板目肌の落ち着いた地鉄が、職人の技と美意識を感じさせます。互の目乱れの刃文は、見る者に動きと緊張感を伝え、刀の実用性と美しさを両立させています。中切先の鋭い形状、生茎の栗尻、ヤスリ目が見えない磨き上げられた茎、銀祐乗ハバキといった各所の作りからは、当時の武士たちの実用志向と格式へのこだわりがうかがえます。さびや刃こぼれはなく、保存状態も良好。人気の高い白鞘長脇差であり、その端正な姿と美しい刀身は、観賞用としても申し分ありません。
江戸初期の平和とともに歩んだこの脇差は、武士たちの誇りと精神性、そして日本刀の伝統美を現代に伝える貴重な一品です。ぜひその手で、時代を超えて輝く美と実用性をお確かめください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 512g
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- 刀長
- 53.7cm
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- 反り
- 1.1
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- 元幅
- 2.9
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 新潟県 第045296号
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- 登録年
- 昭和48年