D4085【白鞘脇差】兼信
室町時代末期は、応仁の乱を経て日本全土が戦乱に包まれ、武士たちが己の生死を刀に託した時代です。
そんな動乱の中で鍛えられたこの「兼信」の白鞘脇差は、南北朝時代から続く志津派の末裔による作品です。志津派は、南北朝期に美濃国で活躍し、相州伝の影響を色濃く受けたことで知られ、実用性と華やかさを兼ね備えた刀剣を生み出してきました。本作もその伝統を色濃く残しており、板目が詰む鍛え肌に、互の目が乱れ続く刃文が華やかさを際立たせます。大切先の堂々とした造形は、実戦を意識した力強さを示し、平造りの刀身は扱いやすさを追求しています。生茎に栗尻、金着せハバキが高級感を添え、保存状態も良好で、さびや刃こぼれは見られません。
「兼信」の銘が刻まれたこの一振は、志津派の末裔の誇りを今に伝える貴重な作品です。戦国乱世を駆け抜けた武士たちの実戦刀として、また志津派伝統の華やかさを併せ持つ逸品として、ぜひ手に取ってその魅力をお確かめください。
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- 銘
- 兼信
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 271g
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- 刀長
- 34.4cm
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- 反り
- 0.6
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.3
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- 登録番号
- 埼玉県 第74315号
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- 登録年
- 平成16年