D4095【白鞘脇差】無銘
本脇差は無銘ながら、その作風や鍛え、姿から、室町時代末期、すなわち戦国の終焉にあたる時代の作と推察される一振です。武士が常に命の危険と隣り合わせにあったこの時代、脇差は主刀の補助刀であると同時に、接近戦における有用な護身の武器として重宝されました。
鎬造・庵棟で造られ、板目肌が流れてやや柾がかる鍛えが見られます。刃文は鮮明な互の目乱れが華やかに表れ、室町末期の活気ある作風を彷彿とさせます。小切先を備えた刃先は取り回しも良く、実用性を意識した設計であることがうかがえます。
生茎は栗尻、ヤスリ目は横で健全な状態です。銅製の二重ハバキが添えられ、全体の造作を引き締めています。さらに、わずかに先反りがついた姿が非常に美しく、白鞘に納まったその姿には、凛とした品格が漂います。
刃こぼれや大きな損傷もなく、時代物としては状態良好。無銘であるがゆえに、刀そのものの美しさや造りに目を向けていただける一振です。戦乱の時代をくぐり抜けた、静かなる武士の証をぜひご覧ください。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 444g
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- 刀長
- 54.3cm
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- 反り
- 1.4
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.7
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 愛知県 第69239号
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- 登録年
- 平成15年