D4142【白鞘脇差】兼吉
銘「兼吉」を冠する美濃国の刀匠による一振で、室町時代中期に作刀されたと伝わります。造り込みは鎬造・庵棟、板目肌が詰んで柾がかり、刃文は小互の目が連なり美濃伝らしい冴えを見せています。中切先のすらりとした姿に、牡丹をあしらった華やかなハバキが添えられており、当時の美意識を感じさせる一口です。
兼吉は関鍛冶の一派に属する刀工で、美濃伝の特徴である堅牢さと実用性を兼ね備えた刀を多く残しました。戦国期を目前とした室町中期は、各地で武力衝突が絶えず、携行性に優れた脇差は武士の日常において重要な役割を担いました。本作もまた、そうした時代背景を映す実戦的な姿を留めています。
なお、刀剣を題材とした人気ゲーム『刀剣乱舞』にも、美濃国関鍛冶の代表的刀匠「兼定」や「兼元」らが登場しており、本作「兼吉」も同じ美濃伝の流れに位置づけられる刀工です。美濃伝に関心を持つ愛刀家や刀剣ファンにとって、系譜を味わううえで注目すべき一振といえるでしょう。
保存状態も良好で、刃に錆や欠けはなく、時代を超えて今に伝わる確かな風格を備えています。日本刀の歴史と美濃伝の魅力を堪能できる本脇差を、ぜひご所蔵ください。
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- 銘
- 兼吉
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- 時代
- 室町時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 506g
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- 刀長
- 54.6cm
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- 反り
- 1.5
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 2
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 東京都 第329672号
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- 登録年
- 令和7年