D4147【白鞘脇差】無銘
江戸時代初期に製作された無銘の白鞘脇差です。鎬造に庵棟、小板目肌が詰み流れごころを帯びた精緻な地鉄は、当時の刀匠の高い技量をよく示しています。刃文は直刃を基調にしながら湾れを交え、特に三ツ頭(みつがしら)が鮮明に現れており、観賞用としても見応えのある一振です。小切先にまとめられた姿は引き締まった印象を与え、磨上茎・栗尻の造作も時代を物語る要素となっています。金色のハバキが刀身の美観を一層引き立て、全体として欠点の少ない綺麗な脇差に仕上がっています。
江戸初期は泰平の世を迎え、刀剣が実用性だけでなく武士の威厳や美術品としての価値を高めていった時代です。本脇差もまた、武士の日常を支えつつ美意識を映す存在であったことが想像されます。脇差は大小二本差のうち小刀として用いられ、江戸武士にとって必需の装備でした。
江戸初期に活躍した刀匠の作と共通する時代性を感じさせる一振であり、同時代の刀剣文化を知る上でも大変興味深い品です。コレクションの一振として、また鑑賞刀としてもおすすめいたします。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 378g
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- 刀長
- 50.5cm
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- 反り
- 1
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- 元幅
- 2.6
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.7
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 福岡県 第99551号
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- 登録年
- 平成15年