D4151【白鞘脇差】無銘
江戸時代初期に製作された無銘の白鞘脇差です。時代を経てもなお、さびや刃こぼれのない良好な状態を保っており、当時の刀匠たちの技量の高さを感じさせます。造りは鎬造・庵棟、鍛肌は板目が細かく詰み、穏やかな湾れに互の目が交じる刃文を見せる点に、江戸初期刀らしい落ち着きと力強さが漂います。
茎は大磨上とされ、時代を経てなお用いられてきた痕跡が残されており、平行なヤスリ目や茎に欠け跡が見られる点は、この刀が実用の歴史を歩んできた証といえるでしょう。銅二重ハバキが付属し、白鞘に収められた姿は、美術鑑賞用としてもコレクション性の高い一振です。
江戸初期は関ヶ原合戦や大坂の陣を経て天下が統一され、武士の刀は戦場での実用から、次第に権威や格式を示す存在へと移行していった時代です。本作もその過渡期に生み出されたものであり、武の象徴としての実用性と、美術工芸品としての洗練が同居しています。
同時代に活躍した備前・美濃・相州の刀工が多く登場しており、本作の特徴はそうした流派の作風とも通じるものがあります。名を残さぬ無銘ながら、歴史を背負った一振として、刀剣ファンやコレクターの心を惹きつけることでしょう。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 370g
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- 刀長
- 44.6cm
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- 反り
- 0.9
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- 元幅
- 2.6
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.7
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 東京都 第71663号
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- 登録年
- 昭和31年