D4157【白鞘脇差】無銘
江戸時代中期に作られたと考えられる無銘の白鞘脇差です。全体に錆や刃こぼれもなく健全な姿を保っており、保存状態の良い一振となっています。造りは鎬造、庵棟。地鉄は板目肌で、所々に流れを見せる肌合いがあり、刃文は直刃を基調に互の目が交じる乱刃で、変化に富んだ働きを楽しむことができます。切先は小切先で、大丸の姿を示し、時代の特徴をよく表しています。茎は生ぶ茎で尻張り、平行なヤスリ目が残っており、制作当時の手跡を今に伝えます。銅二重ハバキが付属しており、実用性と美観を兼ね備えています。
江戸中期は泰平の世が続き、武士の刀剣も実戦用から威厳と美を重んじた姿へと変化していきました。その中で本脇差も、戦場の道具というよりは、武士の嗜みや格式を示す存在としての役割を担っていたと推測されます。刀工の銘はありませんが、整った鍛えと丁寧な仕上げから、無名ながらも地方に根付いた確かな技量を持つ刀匠の作と考えられます。日本刀の歴史と美を楽しむ上で、鑑賞にも適した一振といえるでしょう。
コレクションや研究資料としても価値があり、江戸時代中期の刀剣文化を今に伝える逸品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 453g
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- 刀長
- 54.8cm
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- 反り
- 0.8
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- 元幅
- 2.7
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.3
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- 登録番号
- 千葉県 第048377号
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- 登録年
- 平成12年