B4160【拵付刀】無銘
無銘ながらも、江戸時代末期(幕末頃)に製作された拵付刀です。刀身は板目肌に整い、柔らかな「湾れ」に互の目を交えた刃文が鮮明に浮かび上がり、当時の刀工の確かな技量を感じさせます。中切先で姿は引き締まり、生茎に栗尻、左上がりのヤスリ目が施されるなど、江戸後期の作刀様式をよく伝えています。
拵えは、黒塗りの艶やかな鞘を備え、鐔には山水図を金象嵌で意匠した木瓜形の鉄鐔が添えられています。実用性のみならず、武士の美意識や風雅な感性が表現されており、刀装具の工芸的価値も高い一振りです。
江戸時代末期は幕末の動乱期にあたり、武士の魂としての刀が依然として重要視されながらも、武士階級の社会的立場が揺らぎ始めた時代でした。そのため、刀剣には実戦性と同時に鑑賞性・格式を備えたものが求められ、本刀もそうした時代背景を色濃く映しています。
無銘でありながらも健全で美しい刀身、品格ある拵えを備えた一振りであり、歴史的背景と美術的価値の双方を味わうことができます。日本刀コレクションや美術工芸品としてもおすすめできる逸品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代末期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 778g
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- 刀長
- 71.5cm
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- 反り
- 1.4
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 2
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 大阪府 第80037号
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- 登録年
- 昭和51年