E4173【拵付脇差】無銘
室町時代中期(15世紀頃)に製作されたと見られる無銘の一振です。鎬造・庵棟の姿を持ち、板目に小杢目の肌がよく詰み、刃文は互の目を交えた大乱れが華やかに働いています。中切先で力強さを備えつつ、磨上茎により実戦使用の痕跡を感じさせる点も魅力です。
拵は黒塗ツヤ鞘に収められ、丸形透かし鉄ツバが添えられています。縁頭には波間に龍の図柄が施され、武家における吉祥意匠を感じさせます。さらに小柄には「主水正正清」の銘が入り、当時の金工技術の粋を示す価値ある拵金具となっています。
無銘でありながらも地刃の出来は優れており、室町中期という動乱の時代において、武士が実際に佩用したであろう実用と美を兼ね備えた脇差です。実戦刀としての迫力と、拵金具の精緻な意匠が一体となった本作は、日本刀を芸術品として鑑賞する上でも、また歴史資料としても極めて価値の高い逸品といえるでしょう。コレクションの一振としてはもちろん、室町期の武家文化を物語る刀装具付きの遺品としておすすめいたします。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 2
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- 重量
- 347g
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- 刀長
- 45.2cm
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- 反り
- 0.8
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- 元幅
- 2.8
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.8
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 大阪府 第42476号
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- 登録年
- 昭和38年