E4174【拵付脇差】無銘
江戸時代初期に製作された無銘の拵付脇差です。刀身は鎬造・庵棟、板目肌が現れ、直刃を焼き上げた端正な姿を見せています。大切先を備え、戦国の余韻を残しつつも、江戸初期の実用から儀礼・護身用へと移り変わる時代の刀剣美を体現しています。茎は磨上げられており、平行なヤスリ目が丁寧に刻まれ、時代を経た趣を感じさせます。銅二重ハバキが付され、実用性と装飾性を兼ね備えています。
拵は黒塗ツヤ鞘で、重厚感のある光沢が刀身を引き立てます。鐔は丸形の鉄地ふくりん付で、波図が透かされ、縁頭には「波間に龍」の意匠が施されており、力強さと吉祥性を象徴しています。龍は古来、守護と権威を示す存在であり、持ち主に武運長久を祈願したものでしょう。
刀身には棟部分にわずかな錆が見られますが、刃には欠けや錆がなく健全で、保存状態は良好といえます。無銘ながら江戸初期の特徴をよく伝えており、当時の刀工たちが目指した堅牢さと美意識が随所に表れています。実用刀としてだけでなく、美術工芸品としても鑑賞価値の高い一振りです。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 4
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- 重量
- 412g
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- 刀長
- 45.2cm
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- 反り
- 0.6
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.5
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- 先幅
- 2
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- 先重
- 0.3
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- 登録番号
- 大阪府 第11380号
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- 登録年
- 昭和28年