D4177【白鞘脇差】無銘
室町時代中期(15世紀頃)に製作されたと見られる無銘の白鞘脇差です。鎬造・庵棟の姿を持ち、精緻な小杢目肌に、直刃を基調としつつ乱れが交じる刃文が現れています。中切先を備え、両面に棒樋が掻き流され、さらに添樋が添えられており、刀身の軽快さと美観を両立させています。茎(なかご)は切で、平行なヤスリ目が施され、室町期の特徴をよく示しています。木製のシンプルなハバキが付属。
室町時代中期は応仁の乱前後の戦乱期にあたり、武士の需要に応じて脇差や短刀の製作が盛んに行われた時代です。本作も実用を重視した造り込みながら、肌や刃文には美的要素がしっかりと表れており、当時の刀剣文化の奥深さを感じさせます。無銘ながらも、丁寧に仕上げられた両面樋と乱れ交じりの直刃は、在銘作に劣らぬ存在感を示しており、室町期の刀工たちの確かな技量を伝えています。
保存状態は良好で、さびや刃こぼれはなく、地鉄・刃文ともに鑑賞に適しています。戦国期を生き抜いた歴史を映し出す一振として、コレクションはもちろん、研究資料としても価値ある白鞘脇差です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代中期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 474g
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- 刀長
- 55cm
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- 反り
- 1.3
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- 元幅
- 2.7
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.5
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- 登録番号
- 兵庫県 第31495号
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- 登録年
- 昭和36年