D4178【白鞘脇差】正行
銘「藤原正行」による白鞘脇差で、時代は江戸時代初期に遡ります。鎬造に庵棟を備え、地鉄は小板目が細かく詰み、精緻な鍛え肌が見事に現れています。刃文は直刃調にわずかに湾れを交え、落ち着いた中にも品格ある景色を見せ、中切先が全体の姿を引き締めています。生茎に栗尻、平行なヤスリ目が残され、時代の息遣いを伝える保存状態を誇ります。さらに金色二重ハバキが添えられ、刀身の美観を際立たせています。
藤原正行は江戸初期の刀工で、正宗伝を受け継ぐ作域を示すと伝えられる人物の一人です。戦国の世が終わり泰平の時代に移行する江戸初期は、武器としての実用性と同時に、美術性の高まりが求められた時期であり、本作もその特徴をよく示しています。無駄のない姿と美しい地肌は、鑑賞刀としても優れ、また歴史的背景を色濃く感じさせる一振です。
保存状態も良好で、さびや刃こぼれもなく、これからも末永くお楽しみいただける逸品です。日本刀コレクションの一振としてはもちろん、日本美術や江戸初期刀剣史に関心を持つ方にもおすすめできる脇差です。
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- 銘
- 正行
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- 時代
- 江戸時代初期
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- 刃紋
- 乱
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 456g
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- 刀長
- 46cm
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- 反り
- 1.2
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- 元幅
- 3
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- 元重
- 0.7
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- 先幅
- 1.9
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 大分県 第27750号
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- 登録年
- 令和5年