D4231【白鞘脇差】無銘
室町時代末期に制作されたと鑑せられる無銘の白鞘脇差です。戦国の動乱が続いたこの時代、実戦性を重視した刀剣が数多く生み出されましたが、本作もまた簡潔で無駄のない姿に、当時の武士の美意識と合理性が色濃く表れています。造り込みは平造で、身幅にゆとりを持たせ、大切先とすることで、短寸ながらも力感ある印象を与えます。
地鉄は板目が流れ、鍛え肌の動きが自然に現れた好ましい肌合い。刃文は落ち着いた直刃で、華美に走らず、実用を旨とした室町末期らしい作風です。両面には棒樋が掻き流しで施され、軽快さと機能美を兼ね備えています。茎は生茎・栗尻で、長い年月を経ながらも保存状態は良好。ヤスリ目は判然としないものの、鉄味は良く、古作ならではの落ち着いた地景を楽しめます。
刀工銘はありませんが、無銘であること自体が珍しいわけではなく、当時は実戦用として量産された刀も多く、名を残さずとも確かな技量を持つ刀工が各地で活躍していました。本作も、特定の名工に比定することは難しいものの、造り・地刃ともに破綻がなく、時代相応の完成度を備えています。
刃こぼれや錆は見られず、刀身重量269gと取り回しも良好。鑑賞用としてはもちろん、室町末期の刀剣様式を学ぶ資料としても価値ある一振りです。初めて古刀期の脇差を手にする方にもおすすめできる、バランスの取れた一品です。
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- 銘
- 無銘
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- 時代
- 室町時代末期
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- 刃紋
- 直
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- 目釘
- 1
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- 重量
- 269g
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- 刀長
- 32.7cm
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- 反り
- 0.5
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- 元幅
- 2.9
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- 元重
- 0.6
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- 先幅
- 2
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- 先重
- 0.4
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- 登録番号
- 長野県 第52010号
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- 登録年
- 昭和45年